私が数年前に経験した、減圧症を罹患(したと思われる)した際の記録です。
近年、ダイブコンピュータの普及により一般レジャーダイバーの罹患率が増加している事実を踏まえ、
もう少し減圧症というものについて理解を深めてもらいたいという切なる思いで、
汗顔の至りですが、私の体験を披瀝いたします。

当日
2ダイブをおこない、2本とも安全停止をおこなわず浮上。
(箱型ダイビング 最大水深:20m)
翌日
午後に左肘に痛みを感じ、減圧症をまず疑い、減圧症の症状である感覚麻痺が露見できるかどうか、両肘をルレット、保冷剤を当てて確認したが、左右の違いも 無いため様子をみることに。
痛みの多少の違いはあるものの依然症状は続いていました。
1週間後
紀伊大島での2 ダイブ その後も相変わらず、痛みは取れず。
2週間後
紀伊大島での2 ダイブ
ダイビング後の当日、左肘の痛みが消失。
一瞬完治したものと糠喜び。
15日後
午後、左肘にピリピリ感、右肘にも軽いチクチク感が発現。
翌日に休めない仕事があったため、しばらくガマンすること。
なんだかんだ1 週間が過ぎ.......。
24日後
当時、傷害保険に加入していたので指導団体の保険デスクに連絡して、「減圧症に罹患したかもしれない」と述べると
担当者「インストラクターの業務中の反復潜水による減圧症の罹患については保険は対応できません。あくまでご本人だけの旅行中での突発的な事故のみです。DANジャパン加入されているなら、そちらのほうが適用できるかもしれませんよ。」とやんわり断られました。
そのあと、DANジャパンのホットラインに電話。
私「減圧症の可能性があるので大阪近辺の病院を紹介してほしい
DAN担当者(以下D)「まずはどういった症状か、教えてほしい
私「左肘にピリピリ感があります。
D「どんなダイビングをしたか、簡単なダイブプロフィールを教えてください。
以下症状出現までのダイブプロフィールを説明。
D「減圧症の可能性がありますので、大阪にはダイビングに詳しい病院がないので遠 いですが東京医科歯科大学病院か荏原病院のほうがよろしいかと思います。 西日本では、香川の労災病院か大分の 病院です。
私「できれば、近いほうがいいので。
D「京大病院がありますが、医師と技師が揃っていないと受け入れしてもらえない。 石切生喜病院もありますが、潜水に詳しい医師はいてないので。
私「とりあえず、石切生喜病院に連絡してみます。
ネットで電話番号を調べ、代表電話に電話し、
私「DANジャパンに紹介してもらったのですが、減圧症の疑いがあるので高気圧酸 素治療をうけさせていただけないでしょうか?
生喜病院「今日はあいにく減圧症に詳しい医師がお休みなので明日も一度連絡くださ い。
25日後
改めて石切生喜病院に電話。
私「昨日連絡しましたものですが、DANジャパンに紹介してもらったのですが、 減圧症の疑いがあるので高気圧酸素治療を受けたいのですが?
担当の医師が電話元へ。
担当医(以下B)「潜られてから1 週間以上経つと高気圧治療しても効果はないです。
発症後1 週間は血管に詰まった気泡を除去するのには効果がありますが、時間 が経つと血管に詰まった気泡で神経が圧迫されて神経が死んでいってると思い ます。
来ていただいても、症状を軽減していくための治療として、痛み止めの投薬で お近くに神経内科がございましたら、そちらで死んでしまった神経に代わる神 経細胞の再構築をしていく治療をしていくと思います。

私「駄目もとでも良いんで高気圧酸素治療していただけませんか?
B「無理ですね。
私「了解しました。
仕方なく、東京医科歯科大学病院高気圧酸素治療部に電話。
私「DANジャパンから紹介されて電話しました。
受付(以下U)「どんな症状か、あとダイブプロフィールを教えてください。
以下、質問どおりに症状並びにダイブプロフィールを説明。
U「了解しました。
予約につきましては、午後4時以降6 時までに担当医師から折り返し連絡しま す。
6 時までに連絡が入らなければ、こちらの電話番号に電話してください。

16 時30 分ごろ着信。
医師「東京医科歯科大学病院高気圧治療部の○○○(電話が遠くて聞き取れませんで した)です。
お伺いした内容からして減圧症の可能性もありえますが、診察してみてから でないと治療するかどうかわかりません。

私「ハイ、お願いします。
医師「今レジャーダイバーの皆さんでかなり予約が詰まっていて、一番早くて5日後 になりますが、いかがでしょうか?
私「それでお願いします。
医師「では、当日AM9 時に地下1 階にある高気圧治療部の受付に来てください。
治療することになると、PM5 時まで時間が掛かりますから、念のため朝食を じゅうぶん摂っておいてください。

治療費がどれぐらい掛かるか分からないので少しでも節約しようと、 翌日東京駅行きの夜行バスの予約を入れ、帰りの新幹線の回数券を買いました。
18日目
PM11:45 大阪駅発の夜行バスに乗車。
table6しおり
19日目
AM6:50 東京駅着。
病院のある、御茶ノ水駅にいち早く着いておきたいため、東京駅でトイレを済ま せJR中央線で2 駅目の御茶ノ水駅を下りて、AM7:30 に病院に到着。
1 階ロビーにてお手製爆弾おにぎりを食す。
AM8:50 高気圧治療部受付へ。
U「まずは、総合受付で受付を済ませてください。 受付に15分は掛かると思いますので、そのあいだにこの問診表4ページを記 入しておいてください。
受付で紹介なし、を言うと「初診料として5,250 円かかります。」と説明を 受けこのあとの治療費がいくら掛かるのか?心配になる。
4ページにわたる質問項目に記入後、しばらくして受付が完了し、高気圧治療 受付に行くよう指示される。
高気圧治療受付は他の治療で来られている患者さんでもう満員状態。
チャンバーは独立2 室あり、大きいほうは8名収容、小さいほうは3名収容の間に 兼用だと思われる、副室があります。
その後、担当医が来られるまで1時間程度待ち。
2 番目に呼ばれて、受付横の診察室へ。
朝のうちに受付で提出したダイブプロフィールをもとに質問を開始。
担当医(以下T)「症状が出ているのは何処ですか?
私「左肘にピリピリ感と肘から上に向かって引っ張られるカンジです。
右肘も左肘ほ どではないですが、同じです。

T「では、いつのダイビングでなられましたか?
私「当日に2本潜ったのですが、翌日の午後から左肘に痛みが出ました。
しかしながら、私の仕事が土木作業をしているからその痛みかと思いまし た。
2週間後に潜って、翌日の午後に左肘のピリピリ感が出てきて今までの症状とは 違うので減圧症かと思いました。

T「では、感覚機能を検査しますので、腕を前にしてください。
手、指、腕、肘、足、膝など各部曲げた状態で力を入れて医師が引っ張って力 が入っているかを確認。
続いて、保冷剤、ルレットを当てて感覚の違いを確認。
T「減圧症かどうか判断をするのに、左右の感覚の違いが顕著に出るものなんですが、 ひではるさんの場合それがないので、確実に減圧症であると診断できません。
ただ、肘のピリピリ感だとかひっぱられ感はもしかすると血液中に微細な気泡 がまだ残っていて出ているのかもしれません。
高圧治療を受けられて症状が改善するかどうかわかりませんが、高気圧治療を受 けてみますか?
それで、症状が消失すれば減圧症だっただし、変わりがなければ、また違うの が原因かもしれないですね。

私「はい、是非お願いします。
T「では、この治療のデータを今後学術的な機関で発表することに問題なないですね。
と言ってもデータとして治療患者数は何名だとかそうレベルです。
おおかた5 時間の治療となりますので、食事は大丈夫ですね。
水深18mと同じだけの圧力が掛かります、耳抜きは大丈夫ですか?
万一抜けないようであれば、そこで治療は終了します。
地域治療の説明ですが、お住まいの大阪にココと同等施設はないので、なしで す。
では、受付で治療に際しての注意点を聞いておいてください。

受付で高気圧治療についての説明を受け、治療着に着替えペットボトルのお茶と本 2 冊を用意して待機。
今回私含め減圧症患者3名での治療です。
AM11:30 ごろ、治療を受ける患者さんの診察待ちのあと、小さいほうのチャンバ ーに入室。
テーブル6 にしたがって再圧治療。
5時間の長いのなんの、本2冊読めるほど。
技師からの指示で酸素マスクをつけたり外したり、メンドーでした。
治療後、担当医による診察。
T「高気圧治療を受けられて、身体的に何か変わりましたか?
私「はい、肩が軽くなり、左肘の痛みがなくなったようです。
T「治療受ける前の肘の痛みを10とすると、今どれぐらいですか?
私「1 ぐらいです。
「血管に残っていた微細な気泡が消失して症状が改善したと思われますので、それ は減圧症であった、ということです。
もし今後、肘の痛みが再発することがあれば、もともと減圧症ではなく違うこと が原因であると思います。
痛みが出てもそれほど気にせずにおられたほうがいいです。

診察を終え、会計へ。
初診料5,250 円と診察代、治療代で3万円は下らないと思っていたら、保険適用で 総額7,150 円でした。安っ。
意気揚々と帰阪することができました。
考察:石切生喜病院で高気圧治療をしていただけなかったのは、
私の場合、罹患後1 週間以上 経っていたため、点数が低く一人のためだけに時間がさけない、病院事情もあったのかもしれま せん。
(減圧症罹患後1 週間以内は、救急治療となるため、点数が通常の3 倍ぐらいかかる、って聞 いたことがあります。)
なので、罹患1 週間以内で緊急性が伴う場合は石切生喜病院でも対応してくれると思います。
但し、テーブル5(レジャーダイバー向きではない)での治療です。
DANジャパンでは、再圧治療費補助制度があります。

メールを送る もどる  HOME